仏教において、殺生を戒める儀式として放生会(ほうじょうえ)という宗教行事がありますが、かつて神仏習合の進んだ八幡宮でも積極的に採り入れられました。 当宮でも、江戸時代を通じて秋の例祭(当時は今と違い、一週間祭礼が行われていた)の行事のひとつとしてこの放生会が行われました。 肉食は無い時代ですが、魚を食すことに対して魚介類への慈悲(針供養などと同じく感謝の念を表す)であり、境内の池に魚(主に鯉)を放流します。当時は神社の池(放生池・ほうじょうち)として鯉など魚が泳いでおり、参拝者や子どもたちは見て楽しんだことでしょう。明治の神仏分離により仏教色が排斥されてこの行事はなくなりましたが、今もかすかに当時の池の様子が判ります。 儀式としての放生会は無くなりましたが、食べ物や自然など、万物に感謝するこころは忘れたくないものです。
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