昨日は大祓式で皆さんが納められた形代を、古式に倣って流しにまいりました。悪いことや上手くいかないこと、忘れたいことなどを「水に流す」と言いますが、これは『古事記』に記される蛭子を葦舟に乗せて流したことに由来するものです。形代も、元日から半年経たこんにちまでの精神的な自身の罪・穢れを移したものであるため、川や海に「流す」という、古くからの慣習であることとなります。
先日「お土産」のタイトルで記した友人より、本日品物が届きました。２つあるうちの一つは京都の老舗がつくる「にほひ袋」でした。とても気品のある優雅な香りが漂う珍しいものです。箱の中にある説明文によると、「平安朝の頃より、香りを衣裳に移す為に、にほひ袋を用いたことが『源氏物語』などに記されております…」とあります。いまでは手軽なスプレーで香水を振りかけることができますが、かつての人々は「にほひ袋」でほのかな香りを漂わせることが「おしゃれ」な人のすることであったのでしょう。スプレーとは異なる趣きと風情を感じながら、着物に「にほひ」を移しました。外国の方ですが、京都にお住まいであるだけに我々以上にこうした日本的情緒をより強固にお感じになっていることでしょう。お心遣いに感謝いたし、大切に使わせていただきます。
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