山口総鎮守 今八幡宮
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気持ちのゆとり、こころの余裕
2017年03月07日

 風が冷たく強く吹いた一日。冷える日が続きます。

 「やはり宮司さんだから、いつも落ち着いていらっしゃいますね。」などいわれることがあります。決してそのようなことはないのですが、そう見えるのかも知れません。
 神明奉仕(日常の社務)を行ううえで平常心を保ち、気持ちが落ち着いていることは、神さまと参拝者のあいだに立つ者としては重要な要件と言えます。神職がアタフタとしていることは、神前に対しても参拝者に対しても見苦しいものでしょう。
 
 ある方より、人間関係について怒りを持ったお話しがありました。この手の憤りは、思い出すだけでも腹立たしさが蘇るのでこちらからは詳しくは聞きません。
「人に対して怒りを持ったときはどうすれば良いのでしょうか。」
「自分のことしか考えない人」。ということだそうです。
 まず、正常な感覚をお持ちであることに安心してください。
 世の中で「優しい人」と言われる人のなかに、「何を言っても(言われても)怒らない人」が居ますが、これは優しいのではなく感覚の違いです。例えば、うどんをそのまま食べる人と、一味(七味)を何度も振り掛ける人の違いです。(分かりにくかったでしょうか。)つまり沸点が異なるだけで、決して「優しい人」ではないのです。むしろ、沸点を超えたときが恐ろしいと思います。(犯罪を犯した人など、テレビで近所の人が「そんな人には見えませんでした」というものです。)
 
 さて、怒りを持って健全であることが分かりました。次は、その事象や人物に対してどのような心もちであるかということです。ここで、平常心が登場します。
 健康な感覚の人であれば喜怒哀楽があり、沸点の違いはあっても誰でも腹立たしくもなります。このうちの「怒」の沸点は人生経験(加齢)で変わり、通常は歳をとるほど低くなります。(稀に歳を取るほど人間が丸くなる人もありますが、子どもの頃はあまり腹立たしさを感じなかったでしょう。つまり成長するほど怒りがわきやすくなります。)これは「自分は正しいことをしている」という自信の表れであり、これも真っ当なことですが、多くの人間社会で生活する以上、色んな人や考え方があり、ときに自分と違う考えや行動をとる人がいます。このとき腹立たしくなり、やがて怒りへと飛躍します。
 ではこうしたとき、どうしましょうか。

 まず大人であれば、一度冷静になりましょう。軽く深呼吸をし、自分が行ったこと、相手が行ったこと。相手の立場も考えてあげます。顔を立ててあげることもあります。ほとんどの場合は人生において大した事柄ではありません。自分が一歩引くことで解決するのであれば、ここで「貸し」を作ったつもりで引いてください。それが出来るあなたのほうが余程立派な大人です。誰も気が付かないようで必ず気が付いている人(理解者)はいます。
  そのことを踏まえたうえで、どうしても譲れないこともときにあります。ここで自分が引く(譲る)ことで、自分(または家族や大切な人)の人間としての尊厳が傷つけられるというようなときがそうです。そのときは、「怒」の登場ですが、むやみに乱してしまうことは恥ずかしい行為です。至極冷静に、「自分はこう思う」ということだけ表して心の中に「怒」を出して構いません。(ここで何も言わないことは無感情ともとれる情けないことです。)これで分かってくれない人は、所詮その程度の人です。世の中には多くの人がいます。自分を成長させてくれる人を見つけ、その人から学ぶと良いでしょう。
 
 新聞に、毎日「人生相談」が掲載されていますが、多くは他人からすると他愛もないことです。(当事者が真剣なことは分かります)
 自分が大人となり、冷静に余裕をもつことで相手がかえって「どうしてこのようになってしまったのか」と気の毒に思えてくるのであれば、あなたのほうがずっと優れた人物です。優れた人物の周りには自然と優れた人が寄ってきます。
 
 「人を変えよう(変わってもらいたい)」と思うから怒りが起きるのであれば、「この人はこういう人」と諦めることと、あとは時間が解決してくれます。暫くの辛抱、これも自分を成長させてくれることです。


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